仕事で立ち寄ったおばぁちゃん家のブロック塀の上にそれは在った
少し歪な丸い
触ると妙に暖かい
ずっと以前におばぁちゃんが漬物石に使おうと思って荷川取の海から探してきた
ずっしりと重い
ここ10年くらいは使われることもなく日や雨にさらされ忘れられていた
そいつをおばぁちゃんに譲ってもらった
誰も気にも留めなかった石
抱えて撫でてみた
植物園の山の中
たくさんの木が在る
一本の木に触れてみた
この木もあの石と同じだ
誰の目にも留まらない
ひっそりとこの世界に存在する石と木
意識しなければ見えない世界
会いたいな、物言わぬ主たちに